スポーツの統括団体ってどんなことをやってどれくらいお金がかかるの?日本ろう者スキー協会さんに聞いてみた

スポーツの統括団体ってどんなことをやってどれくらいお金がかかるの?日本ろう者スキー協会さんに聞いてみた

日本にはメジャーマイナー色々なスポーツが行われています。各スポーツには日本国内で普及育成などを行う統括団体があったりしますが実際どれくらいの費用がかかっているのでしょうか。今回は日本ろう者スキー協会さんに統括団体の運営に必要なことを聞いてみました。

-日本ろう者スキー協会について教えてください

一般社団法人日本ろう者スキー協会は、冬季デフリンピックを目指している冬季アスリート選手の育成・強化、ならびに冬季デフリンピックへ選手を派遣している聴覚障がい者のウィンタースポーツ国内統括スポーツ団体です。傘下チームに、アルペンスキーチーム、アルペンスノーボードチーム、スノーボードフリースタイルチーム、クロスカントリースキーチーム(休会中)、カーリングチームの5チームがあり、それぞれ国内外強化合宿、タレント発掘、冬季デフリンピック(ろう者のオリンピック)派遣等、その他目的達成に必要な事業を行っています。

- かなりの競技を統括されているのですね。協会はどのような仕事をしているのですか?

当協会傘下チームはJSC(日本スポーツ振興センター)より選手強化事業(国庫補助)の助成を受けて国内外強化合宿を実施していますが、JSCからは常に高インテグリティを求められており毎年ガバナンス・コンプライアンスに関する評価を受けなければなりません。そのためには、協会としての規定類の整備はもちろん、直近の監査報告書、 短期財務計画、財務に係る書類の公開が求められています。これらの業務が協会の主な仕事になっています。

- やはりJSCなどの助成を受けると透明性は求められますね。協会に常駐している職員数は何人いますか?ボランティアでしょうか、それとも給与がでますか?

専属職員は0人です。理事が無償ボランティアで本業の傍らこれらの業務をこなしています。

- 先程の規定の整備や監査報告、財務計画なども無償のボランティアの方が対応されているのですか?

はい、すべて協会の役員が無償のボランティアで行っています。
協会の役員全員、本業を持っており、帰宅した後に自宅で業務をしています。

- 皆さん本業もあるとかなり大変そうです。普及育成にはどんなイベントを行っていますか?

ろう児(小2~高3)へのスキー普及活動、タレント発掘事業を年に一度実施しております。

- タレント発掘事業は具体的にどのような事業でしょうか?もし決まっていれば次回のイベントのこともお聞かせください。

NPO全日本聴覚障害スキー指導員会が主催しているデフわんぱくスキー・スノーボード教室※に、当協会のタレント発掘事業として当協会所属のアルペンスキー、アルペンスノーボード、スノーボードフリースタイルスタッフを派遣させてもらっています。

ウィンタースポーツのすそ野を広げる目的で毎年1月に関東地区のろう学校に通っている小2~高3までのろう児を対象にスキー・スノーボード普及を行っています。タレント発掘事業では、前述のスキー・スノーボード教室参加者の中で有望と思われるろう児を発掘することで当協会のジュニア指定強化選手としてスカウトしております。

今年の12月に行われる冬季デフリンピックでは、タレント発掘事業でスカウトした選手が1名出場する予定です。 次回のタレント発掘事業は来年の1月連休に長野県菅平高原で実施するデフわんぱくスキー・スノーボード教室の中で行う予定です。

- こういったイベントもボランティアの方が運営されているのですか?

主催者側のNPO全日本聴覚障害スキー指導員会もボランティアで運営、講師を派遣する当協会の強化スタッフもボランティアで派遣させてもらっています。

- 聞きにくいですが、協会運営に使っているざっくりとした金額を教えてください

協会運営費は15~20万円位です。

- その予算はどこから得ていますか?

主に選手、スタッフの年会費・登録料から充当させております。

- 先程の普及活動やタレント発掘事業もその予算内で運営されているのでしょうか?

いいえ、派遣に必要な交通費、宿泊費等はJSC(日本スポーツ振興センター)の強化事業で認められているタレント発掘の予算を使ってスタッフを派遣しています。

- 強化に関しては補助金などが出ているのでしょうか?

JSCより補助金を頂いていますが、補助額はデフリンピックのメダル獲得数や強化事業の評価に連動して増減するため、どのスポーツ団体もメダル獲得に必死になっています。

- ボランティアは募集していますか?もし募集されているなら申込の方法を教えてください。

強化スタッフは随時募集していますが、強化責任者が過去の活動実績から適任者を任命、強化スタッフとして登録する形をとらせていただいております。

- これからより良い運営やろう者スキーの普及育成に必要だと思う予算はどれくらいでしょうか。またその予算があればやってみたいことを教えてください

 ウィンタースポーツ普及活動、タレント発掘事業に必要な予算は2~300万円位です。資金が限られているため、首都圏に近い長野県を中心に普及活動を実施しておりますが、もし予算があれば各地区(北海道、東北、関東、中部、近畿)に分散して実施したいと考えています。

-なかなか答えにくいところまで話をしていただいてありがとうございました!

2019年の冬に開催される冬季デフリンピックにも選手を派遣する日本ろう者スキー協会。少ない予算ながら選手の育成、強化など様々な活動を行っています。ぜひ日本ろう者スキー協会へのスポンサープランもご覧ください。